少なくない!入居者同士のトラブル
難しい問題
グループホームは1ユニットの中で5人~9人の入居者が生活しており、少人数ゆえの温かい雰囲気が魅力なのですが、入居者が全員仲良く生活できるかと言えば、そうじゃないケースもあります。馬が合わない入居者もいるでしょうし、その入居者と毎日生活を共にするわけなので喧嘩になることもあります。当事者同士はもちろん、喧嘩の様子を見ている周りの入居者にとってもストレスになります。強いストレスは認知症症状を進行させる要因になります。だからといって簡単に転居することもできないので、入居者同士のトラブルというのは難しい問題なのです。
こういったトラブルに注意
グループホームは個人宅のような構造なので、部屋のドアを施錠できるところは少ないです。そのため、自分の部屋に他の入居者が勝手に入ったり、勝手に他の入居者の私物を持ち出してしまってトラブルに発展することがあります。他には、隣に座っていた人のおかずを勝手に食べたり、食事の仕方が気に入らないなど、本人は悪気がなくてもトラブルに発展してしまうことが多々あります。多くは入居者のご家族からの訴えで発覚するので、結果的に対応が後手に回ってしまうという点も問題です。
利用者同士のトラブルで特に注意したいのが、認知症による記憶の後退によって感性が若くなり、異性に興味を持つようになって夜中に襲うというトラブルです。こういったトラブルを起こした入居者は、多くの場合重篤者とみなされて職員の目が行き届きやすい1階の部屋に住んでもらうことになります。この夜間徘徊についてはなにも男性に限ったことではなく、女性からも発生します。そのため、男性だから注意する、女性だから大丈夫、ということはありません。
なぜトラブルが起こるのか
入居者同士のトラブルは、ほかの入居者からの陰口や仲間外れなどから発展するケースが多いです。要因は様々で、金銭の貸し借りや家庭環境への嫉妬などが考えられます。認知症を患っているため、症状が進行したことによる幻覚や妄想で他の入居者を泥棒扱いしたり、暴言・暴力を働くこともあります。このようなトラブルの根っこにあるのは本人の喪失感や孤独感です。ご家族と離れて生活することへの不安、あるいはすでにご家族が亡くなられていることの悲しみなど、社会的立場を失ったことへの喪失感や孤独感がトラブルを招く行動の引き金となります。
また、これまでの生活習慣や社会的地位、物事への考え方は当然ながら入居者それぞれで異なるので、その違いから言い争いに発展することも多いです。